綾野剛、柄本佑の 「声が芳醇で、とてもうっとりました」『花腐し』イベントレポート到着!

(C)2023「花腐し」製作委員会 
10月2日(月)

『赫い髪の女』(79)、『キャバレー日記』(82)など日活ロマンポルノの名作や、『遠雷』(81)、『Wの悲劇』(84)、『ヴァイブレータ』(03)、『共喰い』(13)など数多くの脚本を手がけてきた荒井晴彦が、主演に綾野剛、共演に柄本佑、さとうほなみを迎えた映画『花腐し』。


斜陽の一途にあるピンク映画業界。栩谷(くたに)は監督だが、もう5年も映画を撮れていない。梅雨のある日、栩谷は大家から、とあるアパートの住人への立ち退き交渉を頼まれる。その男・伊関は、かつてシナリオを書いていた。映画を夢見たふたりの男の人生は、ある女優との奇縁によって交錯していくー。ふたりの男とひとりの女が織りなす湿度の高い男女の物語――荒井晴彦が、『火口のふたり』(19)に続く自身4作目の監督作品として選んだ本作は、芥川賞受賞の松浦寿輝による同名小説に“ピンク映画へのレクイエム”という荒井ならではのモチーフを大胆に取り込み、原作の“超訳”に挑んだ意欲作で日本映画史に残ること必至!の切なくも純粋な愛の物語。


綾野剛、柄本佑、さとうほなみら豪華キャストと荒井晴彦監督がそろって大ヒットを祈願する、完成披露舞台あいさつ10月1日(日)テアトル新宿にて実施!イベントレポートが到着した。


チケットは発売早々に完売、この冬の大注目作でもある本作。そんな熱気あふれる劇場に登壇した綾野は「皆さんに届けたい映画が出来上がりました。短い時間ですけど、ぜひ楽しんで帰ってください」と感慨深く挨拶。つづく柄本も「今日、ここに向かってくる途中でちょっと雨が降り始めました。皆さんがこの映画を見終わって外に出た時に、雨なのか・・と思ったら非常にうらやましい気がします。皆さん恵まれていると思います」と雨が印象的な本作についてコメント。その言葉を聞いたさとうが「わたしも雨の話をしようと。思ったのに取られちゃいました!でも皆さんに楽しんでいただければ」と笑顔で語ると、最後に荒井監督が女性客の多い客席を見渡しながら「横にいる3人と、スタッフのおかげで自分の好きな映画をつくることができました」と呼びかけた。

本作は8月末に大分県で行われた湯布院映画祭で初お披露目。こちらの映画祭は映画上映後に映画人と観客が一堂に会して1時間以上にわたって、ざっくばらんに感想を話し合う「シンポジウム」が名物となっているが、時には議論が白熱しすぎて、辛口のコメントが飛び交うこともあるのが特色だ。


そうした熱のこもった議論の応酬が繰り広げられる映画祭に参加したさとうは「本当に独特な映画祭で。面白い映画祭でした。今日も皆さんと一緒にシンポジウムをやりましょうか? と言いたいくらいの気持ちですが、皆さんに観ていただくのは本当にうれしい気持ちでいっぱいです」と述べる。本映画祭常連で、今年も参加していた柄本が「今回はけっこう好意的な感想が多かったですけど、時には辛らつな意見も飛び出したりすることもあるんで、けっこう緊張するんですよ」と続けると、綾野は「いいなぁ。参加したかったなぁ」とうらやましそうな表情をすることしきり。さらにシンポジウムでも遠慮のない意見が飛び出したと聞いて、「シビれますね。対話が生まれるのはいいですね」と楽しげに話を聞いていた綾野だった。


脚本家として、日本映画史に残る数々の傑作を手掛けた荒井監督の脚本は、俳優陣を魅了したという。まずは綾野が「脚本の段階で完成されていたので。『これを実写化するのか』という畏怖心みたいなものがあったんですけど、でもこれぞ脚本というものに久々に出会ってしまったという思い。それ以上に荒井組として映画の中に飛び込みたいという思い。そして(柄本)佑くんと(さとう)ほなみさんと一緒にその時間を過ごしたいという思いの方が勝って。思い切って飛び込んだんですけど、とにかく楽しかったですね」と充実した表情。そして「僕も面白いなと思いました」と続けた柄本は、「詳しくはネタバレになっちゃうんで、あまり言えないんですけど、(脚本を読んで)荒井さんが“いよいよそこにいくのか“と思って、本当にワクワクしたんです。そんな作品に参加できて非常に光栄です」と晴れやかな表情を見せた。

今回の役をオーディションで得たというさとうも「オーディションの時にいただいた脚本は二つのシーンだけだったんですけど、そこを読んだだけでもすごく印象深いシーンで。そこだけで『花腐し』のすべてというわけではないけど、大事なところがかなり詰まっているところでした。その時点で心をつかまれた感じはありましたね」と述懐。

綾野と柄本は、これまで何度か共演経験があるものの、しっかりと共演したのは今回が初になるという。「ここまでしっかりとご一緒するのははじめてだったんで。本読みの段階で、(柄本の)セリフの初速の速さというか。迷わずポンと出てくる感じにけっこう圧倒されて『まずいな』という感じがあったんです」と正直な思いを吐露した綾野。その後、撮影を一緒に進めるうちに「それはほなみさんもそうなんですけど、何回も一緒にやっているような自然な関係になれたのはとても大きかったですね」といい、「(柄本は)声が芳醇(ほうじゅん)で、とてもうっとりました」としみじみ付け加えた。


しかし一方の柄本も、実は綾野に対しての焦りがあったと告白する。「僕も本読みの時に、荒井さんのセリフと、綾野さんの親和性の高さにビックリしたんです。本読みが終わった時に『ヤバい!』と思ったんですよ。荒井さんのセリフにフィットしている綾野さんの声にけっこう焦った記憶がありますね」と明かしつつも、「でもお芝居が始まると、なんだか初めてとは思えないくらいすんなりとやり取りが始まった感じでしたね」と振り返る。そしてそこにたたみかけるように綾野が「実はこれも今日発覚したんですけど、二人とも2003年デビューで(芸能生活)20年だったという。すごいですよね」と付け加え、二人で笑い合った。

本作のタイトルに引用された万葉集の和歌<花腐し>とは、きれいに咲いた卯木(うつぎ)の花をも腐らせてしまう、じっとりと降りしきる雨を表現しているが、劇中ではそのタイトル通り雨のシーンが印象的に登場する。

そのシーンを振り返った綾野が「ずぶぬれでしたね。やはり映像に映るためには(大量の)雨が必要なので、ずぶぬれでした」と笑ってみせると、柄本も「わりと雨のシーンって、カメラの手前の人物だけに雨を降らせていたりするんで、よく見ると奥の方は晴れているとか、奥の方は地面がぬれてないなと感じることもあるんですけど、本作はそういうあら探しをしても見つからないです」と太鼓判。さらに綾野が「50メートル先まで雨を降らせてたんで、感動しちゃいましたね」としみじみ語ると、柄本も「しかもモノクロなので、普段の1.5倍くらい降らさないと画面に映らない。だから画面に見えているよりもわれわれはもっと降っていますよね。でもああいうのっていいですよね。雨を降らせる側も楽しいでしょうし」とコメント。綾野も「まさに職人技ですね」としみじみ付け加えた。

そんな舞台あいさつもいよいよ終盤。最後のコメントを求められた荒井監督が「もし観て良いと思ったら宣伝してください、そうすると、もう1本撮れるかもしれないんで」と呼びかけると、さとうも「本当にお伝えできることは感謝ということですね。とにかく観て楽しんでください」とコメント。

さらに柄本が「決して皆さまがガッカリするような出来ではございません。大満足していだける出来だと確信しておりますので……。皆さんは共犯者ですからね。われわれと一緒に『花腐し』を盛り上げてくれたら幸いです」と続けると、最後に綾野が「大切に、かつ大胆に、この作品を脚色しながら、映像化しました。そして今日、今から皆さんに観ていただくというのがこの映画の始まりだと思いますし、皆さんが観ていただく中で感じられた感情こそが、この映画を本当の完成に導くと思っています。ぜひ楽しんでいただけたら。またお会いしましょう!」とこれから映画を観る観客に向けてメッセージを送った。

11月10日(金) テアトル新宿他にて全国ロードショー

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